(東京都武蔵野市)
事 業 名 ムーバス(コミュニティ)運行事業 事業年度

平成7年

担当課名 交通対策課 TEL 0422-60-1859

事業の概要

(背 景)

 武蔵野市は、東京のほぼ中央、区部と多摩地区の接点に位置し、東西6.4km、南北3.1km、面積は10.73ku、人口は約131千人で、吉祥寺、三鷹、武蔵境の3つの駅があります。市域の大部分は閑静な住宅街ですが、特にJR吉祥寺駅周辺は都内でも有数の商業、金融、文化、レジャーなど高度に集積した地域です。
 バスは大変本数が多く、吉祥寺北口だけで1日に1,200便も発着します。しかし、バスは大型車両であり特定の幹線しか運行していません。住宅街のほとんどの道路は5.5mとか4mの生活道路であり、大型バスの路線とするには困難な道路です。
 コミュニティバスの考えが初めに示されたのは、平成212月に開催されたシンポジウム「武蔵野市の未来都市型を語る」の中のことで、「駅に行きたくても行けない」という高齢の婦人からの手紙をきっかけとして、土屋市長は以下のように述べました。「・・バスは大型で60人乗り位の定員で幹線道路を走っている。武蔵野市の場合、市内3駅から1キロで円を引くと、その中におさまらない所が出てくる。駅にアクセスするのに1キロ以上あり、バス路線から外れていて、自転車に乗れない、歩くしか手段がない、こういう方々(高齢者等)は駅の近くに居ながら交通過疎なのです。1キロ歩けというのかどうか。幹線道路より1ランク下の6mの区画道路みたいなところならまだまだバスが行ける。その辺を対象にした近々距離中型バス・・」
 平成310月に「市民交通システム検討委員会」を設置し、高齢者の交通環境に的を絞り調査研究を行いました。委員会ではバス停から300m以上離れた地域をバスの空白地域、バスの便が1100本以下の地域を不便地域とし、このような地域が市内に5ヵ所存在することが明らかになりました。委員会は高齢者の交通環境改善の提案と共に、これらの地域に「コミュニティバスの整備」を提言しました。更に、平成56月「コミュニティバス実施検討委員会」を設置し、また、平成6年に「コミュニティバス推進委員会」を設置し調査研究が行われました。

(内 容)

 ムーバスの基本的考えはバス交通の空白・不便地域と駅を小型バスを使い短距離で結ぶことと、高齢者等の使い易いシステムとすることにあります。
 平成711月に運行した東循環は4.2kmの右回り循環、8時〜19時に15分間隔で45便、平成103月に運行した北西循環は5.2kmの左回り循環、8時〜19時に13分間隔で55便の運行です。両路線とも吉祥寺駅北口を起終点としています。
 路線は極力既存のバス路線と競合を避けて、住宅街の5.5m道路を基本に運行しており、バス停は高齢者等の歩行距離を考慮して200mを基準に設置しています。車両2枚扉で幅が2.06m、長さは.99mのマイクロバスで、高齢者の利用に配慮して乗降口には15pまで下がる電動補助ステップを装備しています。また、どこでも押せる押しボタンや、体が安定しない吊り革をやめて吊り下げ式の直径2.8cmの握り棒を59本設置しています。排気ガス浄化装置を装備し、より低公害のバスとしました。また、ゆったりした横向きセパレートシートや1.5人掛けシート、畳んだ車椅子を格納する跳ね上げシートも装備しています。バス停標識はバス停名称の他にバス停番号を付番し、それぞれ異なった色で表示しています。更に地域の情報交換の場として車内にコミュニティボード(伝言板)や自由に使える貸出傘も用意されています。
 料金は、大人・こどもともワンコインの100円で、未就学児童には無料としています。現金か専用の回数券(111,000円)のみ使用でき、高齢者のシルバーパスは使用できません。(既存バス路線は均一運賃制で大人210円、こども100円)。
 バス車両6台やバス停施設は市が用意し事業者に無償で貸与しています。運行は関東バス鰍ェ乗合路線免許を取得し行い、運賃収入と運行経費の不足分は市が補助しています。

  年度     乗客数(人)   運行経費(万円)   補助金(万円)

   7    105,000    1,902       792

   8    378,000    5,617     1,820

   9    428,000    4,735       470

  10    903,000    8,094      △864

  11  1,037,000    9,365      △910

 現在、東循環が平均で1日1,200人、北西循環が1,800人に利用されています。
 平成97月からは運行経費の削除と高齢者の再雇用の場として、一部の便を除き定年退職者が運転しています。

事業の成果・評価・反省点

 運行後のフォローアップ調査での「ムーバスを利用する理由」では、@料金が安いAバス停が近いBほぼ時刻表どおりに来るが上位で、運行システムの評価は非常に高いものとなっています。市の高齢者比率は16%ですが、ムーバス利用者の27%は65歳以上となっており、高齢者の利用頻度が高い結果が出ています。これは、今まで駅や商店街に出かけるのに長い距離を歩いたり、タクシーを呼んだり、外出したくても気軽に外出できなかった高齢者がムーバスを利用して自由に外出できるようになった結果であり、家の近くから利用できると大変評判です。高齢者を家に閉じこもらせたくない、寝たきりになることを外出することで1日でも遅らせたい、自由に安全に駅や繁華街に出て欲しいとした当初の目的を満足する利用結果がでています。

今後の展望

 現在2路線ですが、ムーバスをネットワーク化する方針で、今年度中に他の駅から1路線の運行を準備しており、今後他の交通空白・不便地域での路線の運行も視野にいれて準備に入っています。